シャドバが「神ゲー」になるには?(前編)―TCG歴14年が語る

  • 10月 15, 2018
  • 11月 28, 2018
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シャドバはなぜユーザーからの評価が低いのか?

今回の記事の内容は「シャドバ」が、俗にいう「神ゲー」、つまりいいゲームになるにはどうすればいいのか、ということに一貫するのですが、それはつまり、「今はよくない」ということでもあります。

(ちなみに、「よくない」は世間の評価であり、筆者はそれよりもう少しShadowverseを肯定的に捉えています)

 

では、なぜ多くの人が「よくない」と思うのか。

それは、一言で言うと、「最初に期待されすぎた」からだと思っています。

リリース当初は日本ではあまりデジタルカードゲームが流行していませんでしたが、シャドバは広告に力を入れ、ユーザーからの期待を大きく集めました。

そして、実際にプレイしてみると……面白い!!!

筆者も第一弾の頃、カードゲーム好きのひとりとして夢中になりました。

そう。これはちょっとした罠なのですが、カードゲームって、そもそも始めてからしばらくはめちゃくちゃ面白いんです。

それが、しばらくして慣れてくると、粗が見えてくる。

「あれ、今みんなこのデッキ使ってるな」と感じたりとか。これは自然なことなんです。

そして、みんなの「面白い!」が少しずつ冷静さを取り戻した頃、丁度その期待を文字通り「破壊」するカードが登場します。


「バオオオオオオオオオ!!!」

シャドバを語るうえで欠かせないこのカード「バハムート」は、場に出た時敵味方問わず全てのカードを破壊します。

「試合の中で積み上げてきたものを全て白紙にしてしまう」この能力は、お世辞にもバランスのいい能力とは言えませんでした。

そして、ユーザーからの評価は一転、地の底に落ちてしまいます。

今では懐かしい言葉ですが、「バハメンコ」(バハムートをバハムートで倒して上書きしてしまうこと。もはやカードゲームではなくメンコじゃないか、と批判する意味だった)

などに代表される通り、この当時シャドバを激しく批判する言葉が沢山生み出されます。

これが、悲しいことに、「シャドバ=つまらない」という考え方を定着させる原因になり、今でもその信用は完全には回復していません。

 

カードゲームの入り口という偉大な役割

ここは本題ではないのでサラッと流しますが、本当はここが筆者の言いたいことでもあります。

シャドバは、まだカードゲームをやったことがない人、また、子供の頃しかカードゲームをやっていなかった人に、カードに触れるきっかけを与えてくれた偉大なゲームです。

それは、単純に「みんなやってるから」という理由もあるでしょうし、「カードを持ち歩くのは子供っぽいけど、スマホでできるから気軽にできるから」「無料でできるから」など、色々と考えられます。

カードゲームを愛する人のひとりとして、シャドバには感謝してもしきれませんし、日本で、カードゲームの入口とも言える役割を担ってくれているシャドバは、面白いゲームであってほしいと祈っています。

……と、いうわけで、この記事を書くに至ったわけです。

お待たせしました。本題に行きましょう!

 

さあ、シャドバを面白くしよう   

と、言っても、僕はスタッフではなくただのプレイヤーなのですぐには出来ないのですが、

このブログが有名になってくれたら、いつかスタッフの方の目に留まってくれるのではないかという期待をもって書いています。

それだけでなく、これを読んで下さっている皆さんが「こうなってほしい!」と同じ期待を持ってくれたら、解決の糸口になるかもしれません。

まず最初に、シャドバの強みを理解しておくために、「シャドバの良いところ」を先に挙げておきます。

  1. グラフィック、イラストが綺麗
  2. いつでも動作が軽い
  3. カードが喋るし、声優も豪華

(筆者お気に入りのイラストの一つ。実際のカードは夕日がゆらゆらと光るアニメーションがついておりとても幻想的。)

などなど。「ユーザーが多い」「(日本人の)動画投稿者が多い」など、ソーシャルな見地でも多くの利点が挙げられます。

そして、次は「シャドバの悪いところ」

細かい視点では色々あるかもしれませんが、今回は下記のふたつに絞ります。

  1. カードデザインがへたっぴ
  2. ユーザーの民度が低い

以上です。「デザイン」はイラストとかじゃないですよ。一言で言うなら強さのバランス調整です。

とは言ったものの、今回は2.のユーザーの民度については取り上げません。というのも、筆者はこれは「仕方がない」と思っているのです。

そもそもシャドバは基本的にお金がかかりませんから、子供でも気軽に遊べます。そしてインターネットの様々なサービス(ニコニコ、YouTube)などとの結びつきが強い。

これはシャドバの良いところですが、道徳的にはまだまだ未熟な人を多く呼び寄せます。これは「カードゲームの入口」の役割を担う上での副作用みたいなものです。だからOK!

と、いうわけでここからは、1.カードデザインについて見ていきましょう。

筆者が専門的に研究している内容でもありますので、是非「へーそういう考え方もあるのか」というふうに楽しんで頂けたらと思います。

お待たせしました。本題に行きましょう!

カードデザイン①ゲーム性があるとよりアツい!   

「ゲーム性」って何だと思いますか?

簡単に言えば、「リスクとリターンが同時に発生すること」です。

筆者がこれを知ったのは「大乱闘スマッシュブラザーズ」「星のカービィ」などで有名な桜井政博さんの講演なのですが、

例えば「スーパーマリオブラザーズ」では、マリオがクリボーから遠いときは、安全だけど、イイことも特にない。

マリオがクリボーに近づいたら、危ない!……でも、同時に踏みつけて倒すというチャンスが与えられるのです。

他にも、ノコノコの甲羅を蹴ったら跳ね返ってくる可能性はあるけど、敵を一網打尽にできるかもしれない、とか。

こうやって、リスクとリターンが表裏一体になっている状況こそ、ユーザーが面白いと感じる瞬間なわけです。

同じカードゲームで例を挙げると、デュエルマスターズでは相手に攻撃を仕掛けると、相手の手札が増えるシステムになっています。また、「シールドトリガー」など、攻撃に対して強力な反撃を仕掛けられる仕組みも備わっていて、「攻撃したいけど、でもリスクもあるし……」という、まさにゲーム性に富んだ展開が繰り広げられます。

これは筆者の見解ですが、シャドバはゲーム性をあまり取り入れていないように思います。

「カードをプレイするか、しないか」で悩む瞬間が少ないということですね。

では、はじめに例を出したカード「バハムート」を例に、改善案を考えてみましょう。

今のバハムート

コスト10 攻撃力9 体力9
ファンファーレ 他のフォロワーすべてを破壊する。

相手の場にフォロワーが2体以上いるなら、このフォロワーは相手のリーダーを攻撃不能。

改善案

コスト10 攻撃力13 体力13
ファンファーレ 他のフォロワーすべてを破壊する。このようにして破壊したカードの枚数ぶん、自分の手札をランダムに捨てる。

相手の場にフォロワーが2体以上いるなら、このフォロワーは相手のリーダーを攻撃不能。

元々相手の場に2体以上のフォロワーが居れば攻撃できない、というデメリットがありますが、これだけでカードゲームの効果を研究している人たちから見ると、「研究が浅い人が作っているな」とわかります。

なぜかって、「プレイすることになんのデメリットも付加できていない」ですからね。

そのデメリット効果を活かしつつ、それでも強さと、このカードのイメージに沿った能力にするには、この改善案のように破壊した枚数分手札を捨てるという能力を加えるのはかなり正解に近いデザインだと思っています。
この「バハムート」が最大のバリューを発揮する場面では、デメリットも最大になる。

こうすることで、「いつ使うか」を、プレイヤーは考えますし、そしてその考えた結果が最高の結果をもたらしてくれた時こそが、ゲームをやっていて最高に楽しい瞬間と言って差し支えないでしょう。

シャドバはカードデザインひとつでそのチャンスをいくつも犠牲にしていると考えると、勿体ないことだと思います。

また、これは相手側にとっても、自分の場が一掃されたというピンチと、この「バハムート」さえ倒してしまえば逆に一気に優位になる、というチャンスが同時にやってきます。

そして、2体フォロワーを並べれば時間稼ぎもできる。色々な戦略を組み立ててボスを打ち倒すような感覚で、このバハムートと対峙できたら、相手も随分楽しくなるはずです。

同時に、このカードが以前受けた弱体化前の攻撃力、体力(13,13)に戻します。やはりボスならばこれくらいの能力があってこそですし、使用プレイヤーも並んだ相手のフォロワーをどかすことができた時のリターンが大きい方が楽しめるはずです。

さて、この「前編」では最後にもう一つだけ改善案を紹介して終わります。

今の次元の超越

コスト20

このターンのあと、自分の追加ターンを行う。
スペルブースト コスト-1

改善案

コスト16
自分の手札、デッキにある「次元の超越」すべてを消滅させる。
このターンの終わりに、このターン攻撃または進化した自分のフォロワー全てを手札に戻す。

このターンのあと、自分の追加ターンを行う。
スペルブースト コスト-1

筆者である私が「惜しい」と感じるカードの一枚がこの次元の超越です。

この次元の超越を軸にしたデッキはコントロールデッキを全否定する力を持っており、それだけにコントロールデッキが強力な環境ではその抑止力として働きましたが、

あまりにも理不尽に勝負を終わらせてしまうためあまり良い印象は持たれていませんでした。

その中でも、手札に複数の次元の超越を溜め込んで何度も自分のターンを行う行動は、相手はただ長々と遊ぶ相手を眺めることしかできず、それも突然すぎるため納得がいきません。

ここでの筆者の改善案は、その繰り返しを行えないようにすることで、使用プレイヤーにこのカード以外で十分な準備を行う必要を生じさせています

(1枚制限にするべき、という意見もあります。その場合このカードそのものを引く確率が下がるため、このカードを軸にしたデッキそのものが成立しなくなります。それを良しとするかどうかで判断が分かれますが、今回はこのカードを軸にしたデッキを残す方向で検討しました。)

そのぶんこのカード自体のコストは下げ、他のカードをうまく組み合わせるように仕向けることで、プレイする度に様々な工夫をするという楽しみを用意しています。

最後に、このままでは現行のカード(刃の魔術師、マジックオウル等)との組み合わせであまりにもあっさりと勝つ方法が多いため、少しその難易度を上げるように、使用したターンの打点を次に持ち越せないようなデメリットを加えました。

この能力であれば、事前に相手にダメージを与えておく、もしくは事前に強力な盤面を作り上げておくなどの準備が欲しくなるため、対戦相手はそれをさせないように回復や除去をするという対策を行えます。

このような感じで、カードゲームはお互いが楽しめるかどうか、という点を最優先で作り上げていくことが大切です。

次回の(後編)では、よりその点を掘り下げたカード案をご紹介しますよ!

 

後編はこちら↓

シャドバが「神ゲー」になるには?(後編)―TCG歴14年が語る